最近、ニュースでたびたび耳にするようになった言葉に「PM2.5」があります。
これは中国で発生している大気汚染の一種で、隣国である日本にとっても、
かなり影響の大きい環境問題です。
そもそも、PM2.5とは何なのでしょうか。
これは一種類の物質をあらわしているわけではなく、炭素や硝酸塩、硫酸塩、
そしてアンモニウム塩といった微小な粒子状物質(Particulate Matter)の総称です。
その大きさが2.5μm以下のものを指しているので、そう呼ばれています。
ちなみに、1μmは1mmの1,000分の1。髪の毛の太さが70μmだといえば、その細かさがよく伝わるのではないでしょうか。
極小サイズのため、口から入ると鼻やのどの粘膜では止められず、肺の奥深くにまで入り込んでしまいます。
それによって炎症を引き起こし、喘息や気管支炎、肺がん、
さらに血中に入って狭心症や心筋梗塞、の原因にとなることも考えられています。
PM2.5のおもな発生源となるのは、燃料を燃やしたさいの粉塵です。
たとえば、焼却炉や排ガス、そして石炭による暖房や畑の野焼きなどがそれにあたります。
ほかにも、火力発電所や、工場、自動車などで燃料を燃やして出る硫黄酸化物と窒素酸化物、
そして溶剤や塗料から蒸発する揮発性有機化合物などが、大気中で光やオゾンに反応することでも発生します。
日本国内では、工場や自動車の規制が古くから進んでいるため、PM2.5の発生は年々減っています。
しかし、隣国で中国が大きな経済発展を遂げているため、そこで発生するPM2.5が大量に飛来するという
「越境汚染」が、新しく環境問題となっています。
PM2.5は春に濃度が高くなる傾向があり、3月から5月にかけてはもっとも多く飛来します。
その時期には、東アジアの砂漠地域や黄土地域から舞い上がった黄砂も飛来するので、より注意をしなければいけません。
対策としては、基本的に外出を控える、窓や換気をあまりしない、といった方法が挙げられます。
どうしても外出しなければいけないときは、マスクを着用してください。専用の目の細かいものや、
ぴったり顔に密着するものがおすすめです。
環境省では、1日の平均値が70μg/立方メートルという数値を超えると危険レベルだとしています。
これを超えた地域では、自治体から注意喚起がされるので、対策をするようにしましょう。
また、呼吸器や循環器に病気をかかえる子供や高齢者については、
基準値の3570μg/立方メートルでもリスクが高まるので気をつけてください。
具体的に数値を知りたい場合は、環境省の「そらまめ君」というサイトが参考になります。
PM2.5は、おもに中国が原因となっていることなので、私たちには関与が難しい環境問題でもあります。
今後は、国際的な協力のもと、日本からのノウハウや技術の提供を通して解決をしていってほしいものです。