さまざまな環境問題とからんでいる酸性雨

酸性雨という言葉は、ほとんどの人が知っていると思います。

しかし、あまり身近な問題としてとらえている人は少ないのではないでしょうか。
どこか遠い国で問題となっている。そんなイメージがあるかもしれません。

しかし、じつは酸性雨そのものは日本でも降っているものなのです。

そもそも酸性雨というのは、どのようにして降るのでしょうか。

もともとの原因となっているのは、工場から出る煙による大気汚染です。
燃料にふくまれる硫黄物は、燃焼することで硫黄酸化物となります。
また、自動車や焼却炉、ボイラーなどでは、窒素化合物が燃えて酸化、窒素酸化物となります。

この2つ以外にも、メタンやアンモニア、一酸化炭素など多くの有害物質が空気中にふくまれています。
このような物質が雲となることで、雨が降り、酸性雨となるわけです。

最近では特に、中国が急速な工業化を行ったため、大陸から多くの汚染物質が日本にまで流れ込んできているのです。

酸性雨は地表に広く降り注ぐため、かなりの範囲で多様な影響があります。

まずよく知られているのが、森林への影響。酸性雨は森林を直接枯らすだけではなく、
土を酸性にして、緑の育たない土地にしてしまいます。これによって、森林は土台から失われてしまうことになります。

農地でも同じように、土壌が酸性になることで収穫物が減ってしまいます。

水への影響も見のがせません。湖や沼、川や海に酸性雨が降ることで、生物が生息できない環境となり、
数が減少、やがては死滅してしまいます。遺伝子異常による個体が生まれることもあります。

人間への直接的な影響も、当然あります。

まずは地下水に酸性雨が染み込むことで、飲水が汚染。また、土壌の固定として使われているアルミニウムを溶かし、
やはり水を汚染します。アルミニウムが体に蓄積されることで、アルツハイマー病になるともいわれています。

直接的に体にかかるときは、目や喉、鼻、皮膚などにダメージをあたえ、髪の色も変えてしまいます。

人間以外にも、コンクリートや大理石にダメージをあたえ、銅にはサビを浮かせます。
また、酸性雨は化石燃料の使用も原因のひとつです。
その酸性雨が森林破壊を進め、二酸化炭素の濃度をますます高めていきます。

つまり、酸性雨は大気汚染、森林破壊、そして地球温暖化と、ほかの環境問題とも大きく関わっている存在でもあるのです。

このような酸性雨を防ぐには、そもそも有害物質で大気汚染させないようにしなければいけません。
そのための取り組みとして、国際的にもさまざまな条約や議定書などが打ち出されています。

そんななか、私たちは省資源や省エネルギーなどに取り組むことで、これらの環境問題に貢献していきたいものです。