プラスチックごみの処理、リサイクルについて

今や、私たちの生活にとって欠かせないプラスチック製品。容器や包装、食器、日用品からペットボトルまで、ありとあらゆる製品に使用されています。では、これほど多くのプラスチックがごみとなったとき、いったいどのように処理されているのでしょうか。自治体によって区分は異なりますが、可燃ごみとして焼却するか、不燃ごみとして埋め立てる。あるいは、資源としてリサイクルに回されることになります。

その再資源化には、大きく分けて3つのパターンがあります。まずは、廃プラスチックをそのまま溶かし、別の製品に利用する「マテリアルリサイクル」。PETボトルなどを細かく砕いたフレークや、溶かして粒状にしたペレットなど、がそれにあたります。フレークは衣料品や包装容器、トレー、事務用品、建築資材などに。ペレットは、洗面器や塩ビパイプ、シート、中央分離帯ブロックやレンガなどに用いられています。

次に、化学的に廃プラスチックを分解して原料にするのが「ケミカルリサイクル」です。たとえば、科学的に分子レベルでプラスチック以前の段階まで戻して、新しくプラスチックの原料とするモノマー化。ほかにも、1200℃の熱で分解して、コークスと炭化水素油とコークス炉ガスを作るコークス炉化学原料化。熱で分解して、ナイロンや肥料の原料とする合成ガス化や、ボイラー燃料などにする油化などがあります。

そして、原料ではなくエネルギーとして利用するのが「サーマルリサイクル」です。熱で圧縮してRDFやRPFなどの固形燃料にしたり、セメント製造時の原燃料として利用したりします。また、ほかのごみもふくめて焼却するさいに出た熱を、温水プールや浴場、暖房に利用したり、蒸気でタービンを回して発電する再利用もあります。

このように、2000年に容器包装リサイクル法が施行されて以来、日本ではさまざまな形でプラスチックが再利用されるようになりました。
その努力のかいあって、廃プラスチックの排出量は1,000万t前後と横ばいですが、有効利用率は年々上昇しています。その内訳は、2015年時点でサーマルリサイクルが57%と過半数。あとは、マテリアルリサイクル22%、ケミカルリサイクル4%の計26%が原料としての再使用。
すべて合わせると、廃プラスチックのじつに83%が有効利用されていることが分かります。

ただ、家庭ごみと産業系ごみは排出量が450万t前後と近い量にもかかわらず、有効利用の量は67万tと138万tと倍以上の差がついています。
これは、家庭ごみのプラスチックは汚れや異物などが残りやすく、再生に適していないことが理由に挙げられます。今後は、このような家庭ごみの再資源化も大きな課題となっていくでしょう。