最近では、環境問題というともっともイメージされやすいのが「地球温暖化」ではないでしょうか。
地球温暖化の原因となっているもののひとつに、二酸化炭素の排出があります。
もともと、地球の周りにはさまざまな気体が取り巻いています。
もっとも多いのが窒素で、78.08%。私たちにとって不可欠な酸素が20.95%。そしてこのなかに、
0.03%ととても少ない割合でふくまれているのが二酸化炭素なのです。
二酸化炭素はわずかな量ではありますが、地面から出る熱を吸収し、大気中で逃がさないようにしています。
このような気体のことを、温室効果ガスと呼んでいます。これ自体はけっして悪いことではありません。
むしろ、この作用がなければ、地球は氷の星となって生命の住む環境にはなっていないはずです。
問題は、その割合が近年になって急激に上昇しているという点です。
人類の歴史上で、急激に二酸化炭素の量が増えたのは、18世紀なかばにイギリスで起こった産業革命です。
石炭をエネルギー源に用いた工業は、それまでとはくらべものにならない発展を遂げました。
その一方で、石炭の燃焼により二酸化炭素が排出されつづけ、以前の40%ほども増加してしまったのです。
その後も、さまざまな国で近代化にともない、二酸化炭素は増えていきました。
それに合わせて、地球の気温もどんどん上昇しています。
日本でも工業が盛んになった明治時代後期から、平成になるまでに1.1℃上がってきています。
最近では、酷暑や猛暑と呼ばれる夏がとても多くなりました。それにともない、熱中症患者の数も大幅に増えています。
この20年間近くは、中国をはじめとした新興国の発展が目ざましい時期でもありました。
これまであまり工業が発展していなかった地域でも、いっせいに二酸化炭素の排出量が増えています。
IPCCの報告によれば、2100年には最悪のケースでは4.8℃上昇するのではないかと予測されています。
これによって、どのような影響があるのでしょうか。
まず、異常気象により極端な大雨や日照りが続きやすくなります。
最近ではすっかり日本でも見られるようになったゲリラ豪雨も、温暖化が一因ではないかといわれています。
また、海面の水温が上昇することで、台風も発生しやすくなっています。
生態系への影響も無視できません。2014年に約70年ぶりにデング熱が確認されたのは、その一例といえるでしょう。
病原菌を媒介するヒトスジシマカの生息域が、より広がっているのです。
ほかにも、熱帯地方の病気が持ち込まれやすくなるでしょう。農作物への打撃もはかり知れません。
海抜の低い地域では、海面上昇による水没も大きな問題です。
では、私たちはこのような地球温暖化に対してどのような対策ができるのでしょうか。
原因となる二酸化炭を減らす最大の方法は、エネルギーを少しでも使わないようにすることです。
二酸化炭素は、そのほとんどがエネルギーの燃焼によって発生しています。
生産者はもちろんですが、私たちも毎日の生活でリサイクル活動や省エネ、再生可能エネルギーの利用など、
さまざまな協力の方法があります。
これからは、ただ現在のこと考えるだけではなく、未来への投資としてそのような取り組みが必要となってくるのです。